湯が粉床を 通り抜け ながら、ほぼそのまま抽出液として出ていく淹れ方です。ハンドドリップはすべて透過式です。V60、Chemex、カリタ、Origami、Orea、Tricolate。エスプレッソも透過式で、ただし9気圧がかかっているだけです。
対極が 浸漬式 で、こちらは粉床が決められた時間まるごと湯に浸かってから分離されます。透過式はその平衡に到達しません。粉に当たる湯は常に新しく、だから抽出は浸漬式のようには頭打ちになりません。
味の傾向
透過式のカップは 澄んでいて、明るく、輪郭がはっきり します。新しい湯が絶えず粉床に届くので、果実の香り、花の香り、クエン酸的な酸といった、浸漬式では聴き取りにくい細部を引き出せます。とくに浅煎りは透過式を好みます。高地由来の性格が実際に姿を見せるのはこちらです。
代償は 技術に敏感 なことです。注ぐ速さ、湯の行き渡り方、撹拌、チャネリング。どれが動いても、出てくるものが変わります。同じレシピ、同じ豆でも、注ぎが違えば二人のバリスタは V60 で違うカップを作ります。
透過式を決めているもの
挽き目、時間、湯温、比率に加えて、透過式には変数がふたつ増えます。注湯速度(湯が粉床を通る速さ)と 注ぎ方(表面のどこへ導くか)です。レシピはしばしば、化学と同じくらいこの二つを軸に書かれています。Hoffmann の V60、Kasuya の4:6、Tricolate のゆっくりした落ちきり。ハンドドリップを取り巻くあの語彙が存在するのは、それを要求する形式が透過式だからです。