チャネリングとは、お湯が粉床の中に一本の道を見つけ、それを使ってコーヒーの大半を素通りしてしまうことです。一杯は空洞めいて酸っぱく、抽出が足りない味になります。それでいて粉床は、ちゃんと淹れたように見える。時間だけは正しく見えることが多いので、ハンドドリップでいちばん診断しにくい問題です。
目に見えるもの
抽出後、器具に残った粉床を見てください。特徴的なサインがあります。
- 粉床の一部に、縁から底へ走る濃い縦の筋。
- 片側にできた溝や穴。さっきまでなかったものです。
- 別の場所にある、明らかに乾いた部分。
どれも、お湯が一か所に集まって残りを無視した跡です。全体の抽出時間が表向き正常でも、その乾いた部分の粉はほとんど溶け出していません。
原因
チャネリングの原因がひとつだけということはまずありません。たいていは組み合わせです。
- 挽きのばらつき。微粉と粗い塊が多いと、微粉が底の特定の場所に溜まって詰まり、水はそこを迂回します。
- 注ぎで粉床を乱した(ケトルの先を突っ込んだ、縁に当てた、螺旋がぶれた)。一度道ができると、水はそこを使い続けます。
- バイパス。粉ではなく紙の縁に当たったお湯です。抽出に加わらないまま壁を伝って落ちていきます。
- 古い紙、折れ重なった紙。壁に張り付いた紙は片側からしか抜けません。最初から流れが偏ります。
効く順に対処する
- 紙を熱湯でリンスし、器具に密着させる。 これが何のためかを取り違えないでください。紙の味のためではなく(その議論は注ぎの技術にあり、効果はわずかです)、座りのためです。片側だけ壁から浮いた紙は一滴目から抜けが偏り、それはコーヒーを注ぐ前に自分で作ったチャネルです。
- 鉛筆のような細い湯線で注ぐ。 ケトルは粉床の近く(表面から1〜2cm)、螺旋はゆっくり。湯線が太くケトルが高いほど注ぎは乱流になり、道ができやすくなります。
- 縁から5mm離す。 縁に落ちた水はバイパスで、抽出しません。
- 挽きの粒度分布を改善する。 微粉の多い手挽きなら、挽いたあとに軽くふるうだけでも効きます(台所の粉ふるいで最悪の分だけ落ちます)。臼のグレードを上げれば恒久的に解決します。
- 蒸らし中の WDT。 WDT(Weiss Distribution Technique)は、細い針の束や爪楊枝で濡れた蒸らしの表面をやさしくほぐし、あとでチャネルになるダマを崩す手法です。専用の道具もあります(Aram、Plateau、0.3〜0.4mm のピンを持つもの全般)が、割り箸に縫い針をテープで留めたもので同じことができます。
- 最後のスワリング(Rao スピン)。 落ちきりが終わる30〜45秒前に、やさしく回します。粉床を平らに戻し、壁に張り付いた粉を落とします。
直ったサイン
- 最後の粉床が平ら、または浅く均一なくぼみになっている。
- 縁から底への筋が見えない。
- レシピに対して味のバランスが取れている——甘さが戻ってくる。
- 落ちきりの時間が抽出ごとに再現する。同じレシピで30秒以上ぶれるなら、まだ断続的にチャネリングしている可能性が高い。
チャネリングを疑うべきとき
一杯が平板で紙っぽいなら、それは出すぎか水のミネラルです。
一杯が酸っぱくて時間も短すぎるなら、それは挽きが粗い問題です。
一杯が酸っぱいのに時間は正常で、粉床に傷跡があるなら、それがチャネリングです。時間は同じでも、溶け出したコーヒーは少ない。お湯が粉床全体を使わずに一本道を駆け抜けたから、予定どおりに終わったのです。
診断の核心はここにあります。時間は嘘をつき、粉床は本当のことを言います。