器具(またはサーバー)をつかんで素早く円を描くように回し、粉床の構造を壊さずにスラリーをならす撹拌の技法です。蒸らしの直後や、分割注湯の各投のあとに使うのが定番です。
きれいなスワリングは、小さく速い円です。1秒足らずで2〜3回転。回し終わるとスラリーは平らに落ち着きます。重い、あるいは遅いスワリングは粉床を壊して水路を作りますし、遠慮がちなスワリングは何も動かしません。
スワリングが効く場面
- 蒸らしのあと。 湯が行き渡らずに残った乾いた斑をならします。蒸らしの湯が届かなかった粉のポケットも濡らします。
- 抽出の途中、投と投のあいだ。 スラリーを混ぜ直し、沈んだ微粉を持ち上げ、次の注ぎの前に平らな表面へ戻します。
- 最後。 落ちきりの直前にひと回しすると、偏った山が崩れ、粉床が一枚の平らなパックとして落ちます。抽出が均一だったかどうかの診断にもなります。
「Rao スピン」とは
James Hoffmann が広め、実際に考案したのは Scott Rao。それが Rao スピン です。V60 の抽出の最後、最後の湯が表面から消える瞬間に、決然とひと回しする。落ちきりの時点で粉床が特徴的に平らになり、それが抽出の均一さを目で確かめる合図になります。
レシピの話として大事なのは、スワリングが魔法だということではありません。一定の撹拌 は自分で握れる変数のひとつであり、注ぎが作り上げた形を乱さずにそれを与える、いちばんきれいな手段がスワリングだということです。