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用語集

クレマ

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エスプレッソが抽出された直後、表面に広がる赤茶色の泡の層のこと。微細なコーヒーオイル、メラノイジン、溶解成分のコロイド状懸濁の中にCO₂が閉じ込められた構造です。クレマは圧力下でしか起きません——ハンドドリップや浸漬式は9気圧で抽出していないため、原理的にクレマは生じません。

クレマが生まれる仕組み

エスプレッソマシンは細挽きの粉に約9気圧で湯を押し通します。この圧力が同時に2つのことを起こす——大量の成分を高速で溶かす(だからエスプレッソは8〜12 % TDS、フィルターの1.3 %とは桁違いに濃い)。そして、豆内部に溶け込んでいたCO₂を液中へ強制的に押し出す。バスケットを抜けて圧力が解放された瞬間、液中のガスは微小な気泡として再び析出する。それらの気泡を**界面活性剤(コーヒーオイル、タンパク質、メラノイジン)**が安定化させ、持続的な泡層となる——これがクレマです。

古い豆ほどCO₂残量が少なく、クレマは薄く、消えやすい。逆に焙煎後5日未満の極めて新鮮な豆はクレマが過剰に出すぎて、ガス由来の暴れたショットになりやすく、ダイヤルインしにくい。

クレマが教えてくれない事

よくある神話に「分厚いクレマは良いショットの証」がある。間違いです。クレマの厚みは大半が豆の鮮度と焙煎度の関数です。21日経った浅煎りから完璧に抽出されたショットがクレマほぼゼロのこともあれば、5日目の市販深煎りブレンドの下手なショットが分厚く派手なクラウンを作ることもある。クレマは豆のガス状態を教えてくれるが、カップ品質の指標にはならない。

クレマが役に立つ使い道:抽出中のリアルタイムの視覚フィードバック。均一でゆっくり流れるクレマ=抽出が均一。筋(ストリーク)が走る、ムラのあるクレマ=チャネリング発生中。筋の色(白=過小抽出、濃褐色=過抽出)で、ショットを止める判断材料になります。

フィルターコーヒーではクレマは無関係です——形成しない。**ブルーム(蒸らし)**が概念上の親戚——同じガスが、カップではなくドリッパーへ抜けていく現象、と捉えると分かりやすい。