焙煎したてのコーヒーは、焙煎で生まれた CO₂ を抱えています。いきなり全量を注ぐと、このガスが湯を押しのけ、抽出はまだらになります。蒸らしは、本番が始まる前にガスを逃がしておくための、小さな最初の一投です。
何を見ているのか
粉床がふくらみます。表面で泡がはじけます。香りが甘く、丸くなります。CO₂ が粉から抜け、粒子が開いていく合図です。新鮮な豆なら30〜45秒あれば足ります。
湯の量
豆の重さの2倍です。15gのコーヒーなら30gの蒸らし湯。すべての粒子を濡らすには足り、ガスが抜けきる前に落ち始めるほどには多くない量です。
省いてよいとき
焙煎から3週間以上たった豆は、CO₂ の大半をすでに手放しています。蒸らしの働く余地は小さくなります。15〜20秒に縮めても、古い豆なら丸ごと省いてもかまいません。
蒸らしが用意するもの
きれいな本注ぎです。蒸らしを飛ばすと、そのあとの注ぎは毎回ガスだまりと戦うことになります。蒸らしを入れれば粉床は均一になり、湯は注いだところに素直に入ります。クリアさも、甘さも、安定した流れも、この30秒の下流にあります。