エアロプレスはプラスチックの筒とプランジャー、そして紙フィルターだけでできています。2005年に旅行用として売り出され、旅に持ち出す気などない人たちの間であっという間に広まりました。面白いのは、これが透過式と浸漬式の境界線をまたいでいる点です。フィルターとキャップで底が塞がっているあいだは浸漬式の器具ですが、押し始めた瞬間にお湯と粉が一気に切り離されます。受け入れる挽き目の幅は驚くほど広く、出てくるのはクリーンでいてボディのある一杯です。
使い方は2通り——スタンダードとインバート
スタンダード:カップの上に本体を置き、フィルターキャップを締めます。注いで、混ぜて、押す。手軽で速く、汚れも少ない。
インバート:プランジャーの上に本体を逆さに立てます。キャップを外したまま注いで浸漬させ、あとからキャップを付け、カップの上でひっくり返して押します。途中で落ちてしまう心配がないぶん、浸漬時間を自分で決められます。
インバートはやや儀式的、スタンダードは速くて十分に機能します。どちらかを信仰する必要はありません。
失敗しにくい理由
プレスは20〜30秒で終わります。ハンドドリップの落ちきりよりずっと短い。挽き目が少しずれていても、ほとんど気づきません。注ぎが雑でも、ほとんど気づきません。それでいて紙フィルターが微粉と油分を止めるので、一杯はクリーンなままです。「まあ良し」の範囲がいちばん広い器具です。
まず詰めるところ
- 挽き目:中細〜中挽き。粗すぎると抽出しきれていない粉の中をお湯が素通りし、細かすぎると強く押す羽目になって粉床がずれます。
- 浸漬時間:中挽きで1:00〜1:30、速く仕上げるなら0:45、しっかり出したいなら2:00以上。
- プレス:力任せではなく、ゆっくり一定に。全体で20〜30秒が目安です。プランジャーと格闘しているなら挽き目が細すぎます。
紙、金属、ハイブリッド
付属の紙フィルターは、ほとんどのレシピが前提にしているものです(クリーンな味、油分なし、沈殿物なし)。ただ、選択肢は知っておく価値があります。
- メタルディスク(Able など)。油分と微粉をいくらか通します。ボディが増して口当たりが重くなり、そのぶん透明感は落ちます。深煎り向き。
- バルブ付きキャップ(Fellow Prismo など)。圧力で開くバルブが付いていて、カップに落とさずに浸漬させ、押して一気に出せます。実質的にエアロプレスを密閉式の浸漬器具に変えるもので、挙動はクレバーに近く、しかも加圧されます。
- 紙の二枚重ね。プレスが重くなり、透明感が誇張されます。かなりマニアックな選択です。
まずは紙一枚で。変えるのは、一杯がそう言ってきたときだけです。
こんなときに
旅先。職場。ハンドドリップにつきっきりにならずに、ボディのあるクリーンな一杯が欲しいとき。そして実験したいとき——レシピの振れ幅は大きく(浸漬時間は0:30から4:00、比率は1:10から1:18まで)、エアロプレスはそのどれも平然と受け止めます。