カッピングに Q グレーダーの資格は要りません。ボウル3つとキッチンスケールがあれば、なんとなく淹れ続けた1年より多くのことが一日の午後で分かります。目的は点をつけることではなく、比べることです。
用意するもの
- 同じ形のボウル3〜5個、200ml 前後。ガラスでも陶器でも構いません。厚手のコーヒーカップでも十分です。形は混ぜないこと。全サンプル同じ容器で。
- 粗挽きができるグラインダー。フレンチプレス相当の粒度が安定して出せるもの。手挽きで問題ありません。プロペラ式は不可です(粒度がばらつくと比較そのものが成立しません)。
- 0.1g 単位のスケール。
- 深めの丸いスプーン。普通のテーブルスプーンで足ります。カッピングスプーンという専用品もありますが、必須ではありません。
- ケトル。沸騰近くの温度を保てるものが理想です。
- タイマー。
家サイズに縮めたレシピ
SCA の正式なボウルをそのまま再現する必要はありません。家ならこれで機能します。
- 粉 11g に対して湯 200g(およそ 1:18)。切りのいい数字で、狙いやすい。
- 粗挽き。
- 沸騰直後の湯(約 93 °C)。温度計がなければ、沸かして30秒待ちます。
- 4分の浸漬、無干渉。
あとはサンプルの数だけ掛け算するだけです。3種類なら粉が 3×11=33g、湯が 3×200=600g。普通のケトル1杯で足ります。
手順
- 粉を量ってボウルに入れる。どのボウルも同じ量で。
- 乾いた粉の香りを嗅ぐ。差があればメモを。新しいコーヒーほど香りが立ちます。
- 湯を注ぐ。粉全体が濡れるように、どのボウルにも均等に。最初のボウルに湯が入った瞬間からタイマーを回します。
- 4:00 待つ。クラストができます。触りません。
- クラストを割る。スプーンで3回前に押し、顔を寄せて吸い込む。ボウルを順に回り、そのつど香りを取ります。
- 表面をすくう。浮いた粉をスプーン2本で取り除きます(1本ですくい、もう1本で拭う)。気軽なセッションなら省いても構いません。味への影響は小さいものです。
- 約 70 °C まで待つ。注湯からだいたい8分。熱いけれど飲める、くらいです。
- すする。液体を細かい霧にして口に取り込みます。ボウルごとにすすり、そのたびスプーンをすすいでください。
- ノートを2列で取る。感じたことと、好きかどうか。混ぜないこと。
- 冷めてからもう一度。50 °C を切るとコーヒーは表情を変えます。甘さが出てきて、欠点も出てきます。いいコーヒーは冷めるほど良くなります。
2種類以上を並べて比べる
これが家カッピングの本領です。同じ量、同じ湯、同じ時間。動く変数は豆だけ。だから感じた差は、そのまま本物です。
やってみる価値のある組み合わせ。
- 同じ農園の違う精製(エチオピアのウォッシュトとナチュラル)。精製が何をするかが分かります。
- 同じ豆の違うロースター。焙煎のスタイルが分かります。
- 同じロースターの2つの焙煎度(浅と中)。焙煎が1つのコーヒーに何をするかが分かります。
- 開けたての袋と、飲み終わりかけの袋。時間が何をするかが分かります。たいてい思っているより大きな差です。
スプーンを置いて、ただ飲むべきとき
カッピングは評価の道具です。明日どれを淹れるか決めるなら最適。土曜の朝の一杯を楽しむなら、淹れて飲んでください。朝のコーヒーをすする必要はありません。