トライアングルテストは識別の訓練です。同じボウルを3つ用意し、2つには片方のコーヒー、1つにはもう片方を入れて、どれがどれか分からない状態で出す。テイスターの仕事は、違う1つを当てること。好みも点数も関係ありません。問いはひとつだけです。この2つを、あなたは本当に区別できているのか。
知っておく価値
カッピングのほとんどは評価です。トライアングルはその逆で、評価を丸ごと取り払い、「同じか、違うか」だけを聞きます。好みを聞くよりずっと鋭い、知覚のテストです。
分かることは3つ。
- 感じていると言い張る差を、本当に感じているのか。この2つは違うと断言した人が、テストに落ちます。ボウルは嘘をつきません。
- 自分がどの軸に強いのか。精製の違い(ウォッシュトとナチュラル)は当てられるのに品種の違い(ブルボンとカトゥーラ)は外すなら、舌のどこが鋭くてどこが鈍いかが分かります。
- どこまで小さい差が本物なのか。同じコーヒーの焙煎後5日目と14日目でトライアングルを通せたなら、その差は実在するだけでなく、知覚できる大きさだということです。
家でのやり方
準備してくれる相手が必要です。あなたに見えないところでボウルを用意してもらいます。
- コーヒーを2種類。A と B とします。
- 同じボウルを3つ。相手は AAB、ABA、BAA、ABB、BAB、BBA の6通りから1つを選び、あなたに伝えずにその通りに用意します。
- 普段どおりカッピングする(SCA のタイミング、すすっての評価)。
- 違う1つを指す。点をつけるのでも描写するのでもなく、3つのうちどれが違うかだけ。
- 答え合わせ。当たりでも外れでも記録します。
1回だけではノイズです。当てずっぽうでも3分の1(33%)は当たります。信号が出るのは回数を重ねてから。1セッションで6回まわして5回以上正解すれば、統計的に意味があります。
何が身につくか
- 校正。自分に見えている差と見えていない差が、すぐに分かります(ウォッシュトとナチュラルはたいていの人が通り、産地の微妙な違いは難しい)。
- 謙虚さ。ロースターが社内でこれを使うのは、カッパーが思っているより頻繁に落ちるからです。
- 集中。最後に明確な答えが出るので、退屈も上の空も起きません。
実際に使う場面
いちばん分かりやすいのは品質管理です。今日のバッチが先週と同じ味かをロースターが確かめる。家では、2つのコーヒーは違うと確信しているとき(「このブラジルは好きじゃない、このエチオピアは大好きだ」)にまわしてみる価値があります。その好みが本当に知覚に根ざしているのか、それとも袋を見ながら自分に語って聞かせた物語なのかが分かります。
味の議論を始める前の謙虚さチェックにも使えます。争っている2つのコーヒーでトライアングルを通せないなら、その議論自体が成立していません。